Saturday, May 26, 2001

機械的

映画「メトロポリス」を観てきた。手塚治虫氏の得意なロボットものです。
ロボットと人間の共存ってのは、SFの世界では古典的なテーマだけれど、
根強い人気というか、深いメッセージがあると思う。

アトムとか、ティマのようなロボットの登場はきっとまだまだ先のことだ
ろうけど、工業用ロボットとかを考えれば、実際にロボットと人間の分業、
協業は現実なものなわけです。ただ、工業用ロボットは自律思考が不可能
なので、SFによくあるようなロボットの反乱なんてものは起きていない。
単調な、それこそ機械的な作業をロボットに任せて工業生産の効率化が可
能になったわけだけれど、もし、未来のいつか、感情を持って、思考、判
断ができる自律型ロボットが登場して、人間に反抗こそしないけど、人間
より能力的に優れたロボットが登場したとしよう。そのとき、ロボットが
「そんな機械的な仕事は人間がやれば良いでしょう」なんて言うこともあ
り得る。機械だから、人間だからという種の概念でなく、機械的、創造的
という能力の概念での階層闘争が起こるかもね。

で、最近やたらと「知識創造」なんて不可解な言葉が出回っている。この
言葉自体は90年代前半に登場して、そのころに第一次ブームがあったわけ
だけど、となると最近は第二次ブームってことかな。人間社会とか企業っ
てのは、より付加価値を生む組織であるべきだっていうのが主な論旨。こ
の付加価値って言葉、きらいなんだよね、なんか胡散臭さの極みみたいで
さ。けど、みんながみんな創造的で付加価値を生むようになってしまった
ら、つまり頭脳で勝負するようになったら、一体誰が実働をするんだろう。
結局、資本主義である以上、少数の持てる者と大多数の持たざる者って構
図からは抜けきれないので、機械的な物の絶対的な必要性は残るんだよね。
機械的に生きるか、創造的に生きるか、これは現代の "to be or not to be"
かも。

さて、メトロポリスと同じようなテーマの映画「A.I」、スピルバーグが監
督なだけに、きっと陳腐な家族愛で終わってしまうんだろうな。原作は好
きなんだけどな。
あぁ、キューブリックが生きていれば...。

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