Sunday, October 26, 2008

広島を取り戻せ

フォード自動車が経営再建に必要な流動性資金を確保するために、保有するマツダ株(発行済み株式の33.4%)の一部、発行株式の20%相当をてばなすことになった。
この20%相当の株の取得に名乗りをあげたのが、マツダ(10%)、広島銀行(5%)、損保自動車部品メーカー(5%)とのこと。

広島がマツダを取り返したようにみえて、心暖まる。

すごくつらい時期があったマツダだけど、地道に経営を立て直して今ではフォードグループ内の優等生だ。そしてそのマツダのがんばりにあぐらをかいていたフォードが株を手放す。そしてそれが広島に戻ってくる。

マツダは日本の地方や製造業の底力を体現している会社だ。プロジェクトXのようなロマンだけではなく、地に足のついた堅実な会社だ。こういう会社が地元に根付いている広島という街は好きだ。

Sunday, October 05, 2008

75兆円程度で足りるはずがない

アメリカ政府は、サブプライムに端を発する金融危機、リーマン・ブラザーズの破綻やAIGへの税金注入などの事態を収束させるべく、75兆円相当の金額を税金で賄う法案を通してしまったけど、たった75兆円で足りるはずがない。

1995年、日本は住専に6500億円の公的資金を投じた。「6500億円は日本の不良資産の全額です」というのが当時の国の発表だった。
その後、りそなに2兆円、みずほに2.95兆円、UFJに1.5兆円と、都市銀行にも注入され、総額が13兆円であったことが報道された。
ところが、2007年末、あるテレビ番組で日銀の前総裁の福井さんが「日本の不良債権処理には300兆円かかったんです」と発言。要職を離れ、気がゆるんでしまったのだろう。

日本の経済規模で300兆円必要だったわけだ。アメリカの経済規模、基軸通貨としてのドルの影響力を考えると、日本の不良債権処理の金額でも足りるはずがない。

いったいどうなる。

Tuesday, September 02, 2008

福田首相辞任

「国会のねじれを解消できずに停滞を招いた」ことが辞任の理由と言っていたけれど、ここで思い出されるのが、民主や無所属の参議院議員5人が、新党改革クラブをたちあげたニュースだ。これはこれで民主党を離脱して参加意思を示していた姫井由美子議員が発足会見をドタキャンするという後味の悪いオチまでついた。
これで、改革クラブは政党要件の党員5人を満たせないこととなった。

国会のねじれは、参院で与党105席(自民84、公明21)、野党第一党の民主が110席を確保していることに生じる。衆院で圧倒的多数を有する与党が参院では議席数で負け、さらに過半数に達していないというわけだ。

105と110。その差5議席。政党要件は最低議席が5。
なるほどね。つまり民主党の議席が減ればねじれが解消されるのか。自民党が民主党や無所属の人を炊きつけ、「脱退して新しい政党をつくりなさいよ。で、政策面で協力して連立与党に入りませんか?」とささやけば、与党との響きに弱い野党の党員にはまたとないチャンスであろう。そして野党から5人が抜けて与党に5議席増えれば、参院でも与党が優位にたてる・
直前になって姫井議員がドタキャンした裏には、参院での優位性を失うわけにはいかない民主の危機感があり、重要な議員とも思えない姫井さんを残留させたのだろう。

で、この画策が失敗し、ねじれを解消できなかった責任を与党側の誰かが取る必要があった。それが首相辞任だったってことなんだろうな。

Tuesday, August 19, 2008

一過性の一大事

原油価格の乱高下が続いている。
2007年初頭は50ドル程度だった卸価格が、2008年7月には約150ドルまでになった。その後は続落が続き、8月には110ドル前後で推移している。

今の僕が働く自動車業界では、それはそれは大騒ぎだった。燃費がよい車で無きゃだめだ、コンパクトカーにシフトだ、ハイブリッドではなく電気自動車だ、などなど。
環境ブーム、温暖化、ガソリン価格の高騰となんとなく一般市民に身近な話題が複合的にからんだので、「こりゃ一大事」となったわけだ。

一歩ひいて考えてみれば、こんな異常な原油価格が続くはずは無い。需要と供給のバランスで適正価格に落ち着くのが世の常だ。なのに渦中にいると冷静な判断ができなくなる。それこそ「自動車の未来は無い」、「ガソリン車の終焉」などと悪いほうに思考が進んでいったのだ。

ガソリン価格はいずれもとの適正値に戻る。実需での適正価格に戻ると断言できる。そうなったとき、電気自動車だのゼロエミッションだのと大騒ぎして過大な設備投資をおこなった自動車会社を世間はどう見るだろうか。「そういえばあのころ、一時的にガソリン高かったよね。ばかだねぇ、そんな一過性のできごとに振り回されて」なんて声が想像できる。
当事者になると冷静な判断がきかなくなるのだと、身をもって体験している。

Thursday, June 12, 2008

ネットは本名で

ネットではニックネームやハンドルネームを使うこともあるけれど、必ずプロフィールには本名も書いている。「そんな無防備な」とか、「プライバシーが」と過度に反応する向きもあるかもしれないけど、名前ぐらいは気にしない。僕の名前が書かれているものなんてあふれてるわけだし。名刺、免許、郵便物....。

もう一つの理由は、昔の知人が僕を探しやすいこと。僕が10代のころはネットが無く(パソコン通信黎明期のPC-VANやniftyはあったけど一般的ではなかった)、固定電話と郵便がコミュニケーションの手段だった。学校を卒業したら音信普通、連絡先すらわからなくなることは当然のことだった。年賀状を書いたら宛先不明で返信されてきて、「あ、引っ越しちゃったのか」と寂しく思うこともあった。

ネットが一般的になって、SNSやら同窓会専門サイトやらが登場するようになった。今の知人とのオンラインでの交流の場であることに加え、昔の知人を探す場にもなっている。SNSで卒業した幼稚園、小学校、中学のコミュニティに参加したり作ったりしていると、思いがけずに旧知の知人と再開することもある。

どこにいても僕を探せるように本名を書くようにしている。いつでも検索してもらいたい。見つけてくれ。万が一僕がどこかに婿入りしたとしても、旧姓を名乗るとしよう。婿入りの話なんてまったくないけれど。

Sunday, May 04, 2008

パンダとかYahoo!とか

上野動物園のジャイアントパンダ、リンリンの死去をうけ、福田総理がいつになく素早い対応で「中国側へレンタルの打診をした」と発表。
週明けの胡錦濤国家主席来日にあわせて友好的なムードに持って行きたい魂胆なのだろう。
けど、まずはチベットの話だったり、天然ガス田の話だったり、北京五輪に向けた話だったりとそれなりに重要なテーマはあるはず。このまま「首脳会談はパンダの話で友好的に終わりました」だけは避けてくれ。
だいたい、パンダのつがいを中国からレンタルすると一年で一億円ってどーなのさ。いらないだろ、一億円も払ってまで。
これについては石原都知事の「パンダ不要」発言の方が正しいと思うし、それに対する上野動物園の売店関係者(パンダ焼きとか売っているらしい)が売上減を気にして「国民感情を無視している発言だ」との発言はナンセンス。


マイクロソフトがYahoo!に対して買収を打診していたけれど霧散。
Y!はこの買収案を受け入れていた方が株価も上がっただろうし良かったんじゃないかなぁ。MSにしたって、Googleに対抗するためにY!を買収するって言っていたわけだから、その買収を取り下げるなら株主に説明する理由が必要なはず。
報道されている「提示価格が妥当ではない」なんてのは表向きの理由なはずで、Y!とMSがお互いのステークホルダーを納得させられると踏んだ落とし処はなんだったんだろう。こういう交渉の裏舞台には興味がある。

Friday, April 18, 2008

まさに提供者側の発想

「手のひらに、明日をのせて」──ドコモ、赤い新ロゴで“新ドコモ宣言”

携帯電話はキャリア主導の時代からユーザー主導の時代へ──。NTTドコモが7月1日から“ドコモ”ブランドを一新すると発表した。技術志向で、新規顧客の獲得を重視する経営から、マーケットニーズを知り、期待に応えて顧客の満足度を高めていく経営へとかじを切る。

NTTドコモの代表取締役社長、中村維夫氏が、ドコモが変わるためのビジョンとして4つの「新ドコモ宣言」を掲げ、新しいブランドステートメント、ブランドスローガンを発表した。7月1日から新たなコーポレートブランドロゴとコーポレートカラーを採用する。新しいロゴは、より顧客に近い存在であることや優しさ、絆を表現するため、小文字の「docomo」とした。イメージカラーは「ドコモレッド」という特別な赤だという。

新しいロゴは真紅の小文字。写真はロゴを発表するNTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏 新ドコモ宣言として掲げるビジョンは以下の4つだ。

ブランドを磨きなおし、お客さまとの絆を深めます。
お客さまの声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わります。
イノベーションを起こし続け、世界から高い評価を得られる企業を目指します。
活き活きとした人材で溢れ、同じ夢に向かってチャレンジし続ける集団となります。
 新しいブランドスローガンは「手のひらに、明日をのせて。」

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ステートメントだのスローガンだのロゴだのカラーだの、ツールに頼ってる時点で終わってます。ブランドコンサル会社とか代理店の思うツボ。

"お客さまの声をしっかり受け止め、その期待を上回る会社に変わります"とか言うけど、いままではなんだったの?製造販売業だよね、ドコモって。「物売るってレベルじゃねーぞ」ってフレーズがぴったりだ。。


ま、弊社も人様のことは言えないのだが....

Sunday, March 09, 2008

高橋尚子さんの会見を見て

過去数年の不調の中、北京オリンピック代表をかけた重要なレースに臨んだわけだが、27位との結果に終わった。
2005年12月のエントリーでも同じようなことを書いたんだけど、マラソンの高橋尚子さんの会見をみていてまた同じような気持ちになった。

勝っても負けても、スポーツ新聞の見出しになるような、自分が主役になれるような発言に聞こえてしまうんだよなぁ。レース前、昨日の会見では
「あきらめなければ夢は叶うと伝えたい」
「その日のできる限りを尽くして...」
とかね、スポーツ選手なんだか、宗教家なんだかわからない発言が目立ったし、今日のレース後の会見では
「応援していただいて、マラソンをやっていてすごく良かった」
「実は去年の8月に半月板を手術していて」
とか記者にとっては記事にしやすいコメントが飛び出す。

このあたり、スケートのミキティも同じなんだよね。試合前は「スケートを楽しみたい」とか「とにかく全力で」とか言うことが多いし、終わってからは「ケガが完治していなくて」、「この国のリンクは日本より硬くて、ジャンプのたびに膝が...」とかとか。

なんとなく、後味が悪い。

Sunday, February 24, 2008

クルマのある生活

ちょうど去年のいまごろ、97年から乗り続けていた愛車、ルノー・サンクの調子が悪くなった。もともと91年式の車なので小さいトラブルはつきものだったけれど、エンジンやギアといった肝の部分のトラブルが出始めた。

この車とは一緒にいろんな所に出かけた。97年の秋に最初に乗ったときは徳島から東京まで運んだ。10時間ぐらいかけて運転したっけ。コンパクトなボディだから都心の細い道や渋滞をすり抜けるのも得意で、その割に1700ccと大きいエンジンだったので高速も山道も軽快に駆け抜けるワンパクな車。
管轄の陸運局がかわったので品川ナンバーに変更するとき、フランス語のサンクは数字の「5」の意味なので、希望ナンバーとして「5」を申請して無事に登録がすんだ。

年中行事のようにでかける場所も多かった。春先は雪が溶けた富士山の五合目へ、夏は戸隠まで蕎麦を食べに、秋は毎年車山高原で開催されるフランス車のお祭り「フレンチ・ブルー・ミーティング」へ、冬は富士山と江ノ島が夕日に映える七里ヶ浜までおいしいカレーを食べに、御殿場のアウトレットもよくでかけたものだ。

去年の今頃、整備を担当してもらっていたショップに持ち込んでトラブルのある箇所を伝えると、「エンジンもギヤもオーバーホールが必要かも。部品も入手しにくくなってるから厳しいかもなぁ」とのことだった。けど、「これまでだってトラブルはあったじゃないか。まだまだ大丈夫さ」と思って安心していた。

けれど、ウィンドウは動かなくなり、バックで進むとガクンと大きいショックが起きるようになり、発電系も動かなくなった。まるでサンクの方から「もう僕の役目はおわりです。楽しい9年半でしたよ」とでも言い出したようだった。悲しかった。それほどあの車は生活に溶け込んでいたんだ。

手放す日、早朝に七里ヶ浜へでかけた。海の目の前の駐車場にサンクをとめて、写真をたくさんとってずっと眺めていた。これまでに一緒に行った場所や途中の風景を思い出していた。
急に「もういいのかもな。いいんだよね」と吹っ切れたというか、諦めたというか、納得したというか、そんな気持ちになった。
その日の帰路は別の自動車を運転していた。ディーラーでサンクを引き取ってもらい、新しい車で帰ってきた。

一回り大きい新しいその車は、今でも何かに遠慮するかのように控えめに駐車場に駐まっている。

Saturday, February 16, 2008

独りの珈琲

本棚を整理していたらこの題名の本が目にとまった。増田れい子著。三笠書房「知的生き方文庫」シリーズのうちの一作。1985年の刊行だ。
日々の何気ないことのエッセイ集で、後味がよい。

子供の頃からコーヒーをいれるのは僕の役目だった。渋谷に住んでいるころはコーヒー豆をミルでひいた。ハンドルを回すとゴリゴリと豆が挽かれ、ミルの下段の木箱にたまる。その木箱を引き出したときの香りはたまらない。当時はサイフォンを使っていた。アルコールランプを使うのでここは母親の仕事だった。コポコポ、ゴポゴポ、シュゴーッと実験器具のようなサイフォンを飽きずに見続けていたことを思い出す。

三軒茶屋に移ってからも「秀ちゃん、コーヒーないの?」、「お兄ちゃん、コーヒーいれてよ」と姉と妹にせかされたものだ。
そのころはネルドリップでコーヒーを作っていた。豆はお店で挽いてもらうことが多かった。ネルに適量の粉をいれて、適温のお湯をサッと回しかけて粉を蒸らす。そのあとは数回に分けてお湯をクルクルとかけ回せばできあがりだ。

用賀と池尻に住んでいたときもネルドリップでコーヒーをいれるのは僕の役目だった。僕がコーヒーを飲んでいると、必ず「私も飲む」とリクエストされた。「マクドやファミレスよりは美味しいけどドトールの方がおいしい」などとコメントしながらも美味しいと飲んでいたっけな。スコーンやマフィン、トーストやベーグル(ベーグルは手作り)がコーヒーと一緒に食卓にならんだものだ。

二子玉川に移ってから、部屋でコーヒーといえばもっぱらインスタントだ。ベランダから目の前の多摩川を見ながら遠くに富士山を見つつ飲むコーヒーは、それはそれでおいしい。たまにはゆっくりとネルでコーヒーをいれてみようかと思った。独りでゆっくりと楽しむのもまた良し。

Monday, January 07, 2008

戸越銀座の通り魔

誰でもいいから皆殺しにしたかった...

人間関係に悩んでいたと供述した16歳の高校生が、包丁を振りかざして戸越銀座の商店街を駆け抜け数人が軽傷をおったとのこと。
何が原因でここまで突発的な行動に出るのかはわからない。少年犯罪自体はずっと前から存在していたのでなにもここ10年、20年にはじまったわけではない。ただ、最近は明らかに理由が見当たらない犯行が増えていると感じる。とにかく行動が極端なのだ。少年犯罪に限ったことではないけれど。2007年にあった「松涛のセレブ妻」による夫のバラバラ殺人はまさに狂気だ。歯科医を目指して浪人中の兄が妹をバラバラにした事件もしかり。

理由が見当たらない犯行は防ぎようがない。自分自身がそんな現場に居合わせたらいったいどうすれば良いのか。君子危うきに近寄らずでは避けきれない状況に遭遇するかもしれない。

なんとも奇怪な年明けだ

Wednesday, January 02, 2008

今年も同じスタート

年末年始のテレビ番組、昨年もそうだったのだがとかく古代ものや超常現象ものが目につく。一時期の猫も杓子も格闘技といった番組編成はなくなったけれど、ここ数年は古代系だ。
番組表を見てみると、

 -12/30 テレビ朝日
     ビートたけし緊急検証超常現象(秘)ファイル!!祝10周年も一度見たい禁断の(秘)映像100連発
 -12/30 フジ
     世界の絶景100選新世界七不思議の秘密全部見せますSP
 -1/1テレビ東京
     たけしの新・世界七不思議

といった番組がならぶ。それなりにおもしろいので、お笑い系の正月特番に興味がない僕はついつい見てしまう。なんだかんだいって、制作側の思う壷だ。

さて、今年も爽やかに辛口にいきましょ