Tuesday, August 19, 2008

一過性の一大事

原油価格の乱高下が続いている。
2007年初頭は50ドル程度だった卸価格が、2008年7月には約150ドルまでになった。その後は続落が続き、8月には110ドル前後で推移している。

今の僕が働く自動車業界では、それはそれは大騒ぎだった。燃費がよい車で無きゃだめだ、コンパクトカーにシフトだ、ハイブリッドではなく電気自動車だ、などなど。
環境ブーム、温暖化、ガソリン価格の高騰となんとなく一般市民に身近な話題が複合的にからんだので、「こりゃ一大事」となったわけだ。

一歩ひいて考えてみれば、こんな異常な原油価格が続くはずは無い。需要と供給のバランスで適正価格に落ち着くのが世の常だ。なのに渦中にいると冷静な判断ができなくなる。それこそ「自動車の未来は無い」、「ガソリン車の終焉」などと悪いほうに思考が進んでいったのだ。

ガソリン価格はいずれもとの適正値に戻る。実需での適正価格に戻ると断言できる。そうなったとき、電気自動車だのゼロエミッションだのと大騒ぎして過大な設備投資をおこなった自動車会社を世間はどう見るだろうか。「そういえばあのころ、一時的にガソリン高かったよね。ばかだねぇ、そんな一過性のできごとに振り回されて」なんて声が想像できる。
当事者になると冷静な判断がきかなくなるのだと、身をもって体験している。