Sunday, March 31, 2002

そもそも...

最近、「で、結局何が目的なんだっけ?」と振り出しに立ち戻る議
論や打ち合わせが多い。「何のために」とか「誰のために」といっ
た意識が薄いままに進んでいるプロジェクトの多さに驚く。

何となくわかったつもり、お互いに伝えあっているつもり、こんな
曖昧さが責任の所在を薄くしている。曖昧さを含んだ暗黙知ろか、
あ・うんの呼吸の必要さと便利さはわかっているけど、何事も度が
過ぎるとこじれてしまう。そうなると、正直者というか、物事を
見過ごせない損な性格の持ち主が人身御供となっていく。

「これって結局なんだったっけ?」に立ち戻ることが時には必要で、
仲間内では冗談半分にそもそも理論なんて呼んでいる。
議論が発散して収拾がつかないとき、逆に全員が一方向に押し流さ
れている時の両方で便利なことが多い。
例えば、最近直面した例だけど、「携帯電話から旅行の予約を実現
したい」というテーマがあった。多くのメンバーはwebサイトの設計
はどうしようとか、セキュリティの面で問題がと頭を悩ませていた
けれど、電話受付センターを作ればそれでいいのではないかと落ち
着いた。携帯電話=webアクセスと「思いこんだ」結果、何のためか
を見落とした例だ。ユーザーは旅行の予約をすることが目的であっ
て、手段はどうでもよいわけだ。

単純で明快な答えに限って見落としてしまうものだ。行き詰まったら
「そもそもこれって...」と立ち戻ると、意外と解決するものだ。

Saturday, March 30, 2002

No more戦略論者

一応MBAの学生なので、戦略論を語ることが当たり前の環境に晒
されている。何事においても、「まず戦略ありきでしょ」とか、
「戦略の欠如を戦術では補えないね」とか歯の浮くような台詞を
もっともらしく口にしてしまう。

個人的には、戦略論などというたかだか30年程度の歴史しかもた
ない学問に興味はない。学問や理論と呼べるものではなく、例外
の寄せ集めというか、後付の解説に過ぎないと思っている。
というのも、ポーターやバーニー、アーカーなどこの業界で幅を
きかせている人間が言っていることは、とうの昔に言われている。
僕は、カタカナで説明するより、熟語や故事成語で説明するよう
に心がけている。

例えば、トレードオフ。これは「二兎を追うもの一兎をもえず」
のことだ。アジリティは「疾きこと風のごとし」、5forcesは
「彼を知りて己を知れば百戦あやうからず」、ベンチマークや
ベストプラクティスは「人の振り見て我が振り直せ」。交渉の
BATNAは最善策、次善策のこと。

こんな風に、皆が一度は耳にしたことがある言葉で説明した方
が誤解を招かずに良いと思う。
カタカナで惑わし、本来の意味を見失っている戦略論者はもう
いらない。