Sunday, January 14, 2001

それぞれ、都合ってもんがあるのさ

  テレビを見てたら、「21世紀近未来の生活」のようなタイトルで家庭の中に
ロボットが入り込んだり、携帯電話で全てが事足りたり、そんなイメージ映像
を放送していた。僕は科学者だから、自然科学分野の研究テーマとしてそれら
がホットトピックであることは承知している。しかも、もうかれこれ30年近く
議論が続いている。


その番組を見ている間、「?」マークが頭の中を駆け回っ
た。何のためにそれらが議論されているのか、技術の進歩以外に目的がある
のか、それが全く見えてこない。何が有り難いのかがさっぱりなんだよね。
つい先日、ある携帯電話会社に出かけるチャンスがあった。未来の携帯電話や
数々のコンセプトモデル、携帯電話を駆使したマンションとか色々なもの見せ
てもらった。ところが、なんだよね。未来が見えないわけですよ。あの会社が
携帯電話を売って儲ける以外の未来、つまり社会に貢献したり、人間に貢献し
たりっていう未来が見えない。科学者や技術者、そしてインフラや製造業に属
する企業の使命は社会の貢献につきる。その発想をあの会社はなくしてしまっ
たようだ。

さて、僕は科学者であると同時に経営コンサルタントである。ここ数年、何か
が流行ると全てがそっちに向かい、馬車馬になってしまう状況が加速されてい
る。この状況の原因を探ることは僕のコンサルタントとしての役目だと思って
いる。経営や販売・マーケに従事する人間は自分で何かを作り出すことができ
ないため、どうしても小手先のごまかしやセールストークとマーケの手法に依
存してしまう。さらには常に変化し続け、購買し続けなければいけないという
資本主義においては、停滞や現状維持が許されない。その結果どうなるか。最
先端の技術、流行、コンセプトを自ら作り出し、そこで儲けていく仕組みが必
要になる。新しければそれで良いのだ。貢献だとか長期的視野は求められな
い。つまり、「言ったもの勝ち、売ったもの勝ち」の構図ができあがる。
サービス業やエコノミストの常套手段。

一つの流行を、技術、経営、人間心理・組織、社会学、財務、法律などの多くの
視点で見る必要性がもっと見直されるべきだと思う。そして、そういう人材を目
指していくことが今後のリーダーに必要だと思う。
「企業の経営責務としてはこう考える」、「自然科学からの意見はこうだ」、
「ちょっとまて、それは現行の社会にそぐわない」、「法整備が未熟だ」こんな
風に、お互いの立場と都合をぶつけあってこそ、本当の結論がみえてくるので
はないかなぁ。

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