Friday, March 18, 2005

堀江氏

一過性のワイドショーで終わるかと思っていたライブドア社とニッポン放送、フジ・サンケイグループの一連の騒動がもうしばらく続きそうな気配。
こうなると、考えを文字に残しておくことが意味を持つので、あえて書いておく。
結論を言えば、僕はアンチ・ライブドアである。


時間外取引、TOB、MBO、LBO、今回登場した経営手法や金融手段はどれも正しい。純粋に会社を経営する視点で見れば、堀江氏は経営者として当たり前のことをやっている。背後の村上氏も証券会社も、彼らの立場では当然のことをやっている。
当然のこととは何か。利益、すなわちお金だ。

村上ファンド、リーマンの本業は証券業務だ。村上ファンドはコーポレートガバナンスの確立を社業として謳っているが、目的は株価向上によるサヤ抜きだ。ライブドア社もIT企業と言われるが、収益構造の大半は金融業務が占め、webでのサービス提供やソフトウェア販売は枝葉のようだ。
金融業の目的は資金を調達して運用して利益を得ることだから、当たり前のことを当たり前のようにやっているだけだ。手法にもいまのところ違法性はなさそうだ。グレイな部分は多々あるけれども。

要はやり方が間違っているのだ。一体なんのために今回の騒動を起こしているのかが不明なのだ。「ライブドアはIT企業です。ネットとメディアの融合で企業価値を高めます」なんていわずに、「ライブドアは金融業です。利益追求のためにカネヅルになる企業を買収します」といえばよいのだ。自社の利益を拡大することは社長の責務だ。間違っていない。
なのに、シナジーだの、コーポレートガバナンスの健全化だの、大義名分をかざすからおかしくなる。

さて、堀江さんはよく「旧体制を壊す」というけれど、それって本当に必要なことなのだろうか。この言葉に団塊の世代が反応し「よく言ってくれた。応援するぞ」と声高に叫んでいるけれど、これはミドルのぼやきでしかない。高給取りのマスコミに対しての憧れと妬みの裏返しだ。
誰かが被害をこうむっているのなら、旧体制を壊してくれ。フランス革命のように。自分の利益拡大のための破壊は、競争でしかないのだよ。

少し前、ライブドア社内に足を運ぶ機会があった。休日だった。
社内を見回すと、トイレが汚れている。読み終わった雑誌がトイレ内に放置されている。会議室のホワイトボードに板書が残っている。余った会議用資料が机の上に残っている。
これらの現象は、社員の「自分の机周りはきれいにするが、共用スペースには気を配らない」、「他者の目に触れてよいものと良くないものの意識が無い」、ことのあらわれだ。それはそのまま会社の意識につながっていく。
こういう会社は決まって自社の都合しか考えない。これは、過去数十社におよぶ企業とつきあい、外部社員でありながらその会社の社員かのように働いてきた経験に基づく経験則だ。

金儲けに成功する経営者や企業が、尊敬される経営者や会社とは限らない。どちらが良いかは人の価値観や考え方によるが、人間としてどちらを好むかは明らかだ。
大人になりたまえ、堀江君。そこが君と孫さん、三木谷さんとの違いだ。いつまでガキ大将でいるんだい?

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